長年の謎に終止符が打たれた、デスバレーの動く石
2016/09/24
アメリカ・カリフォルニア州にあるシエラネバダ山脈の東部に位置しているデスバレー(死の谷)国立公園には、人工的な力は全くかかっていないのにも関わらず、年々ひとりでに移動してしまう不思議な『石』がある。
このデスバレーは長野県の面積に匹敵するといわれ、全米一の広さを誇る国立公園は海抜下-86メートルのバットウォーターと呼ばれる場所など、数々の観光名所が存在している。
石は地名にちなんで通称『デスバレーの動く石』として世界的に有名になった。
デスバレーの石が、『地球上の謎』とまで言われている理由はその大きさだ。
人的な力が加わらなくても、石ころ程度のものであれば風などで動く可能性はいくらでも考えられるが、この石はそんな小さなものではない。
大きさはバラバラではあるが、動く石はどれも直結15cm~45cm程度のものであり、外部からの力無しに動くような大きさとは考えられず、物理学者の研究対象にまでなった。
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なぜ、ひとりでに動くのか?
この不思議な石はデスバレーの乾燥した土地の上で時間をかけて少しずつ移動していく。
写真のように、地面には引きずられたような石の移動した痕跡がはっきりと残っているのが分かるだろう。
1940年代に発見されて以来、動いていることは定点観測の結果から明らかであるにも関わらず、その肝心の動いている瞬間を見たものは誰もいないという。
多くの未解決な物理現象と同様に、このデスバレーの石に関しても、これまでに様々な仮説が立てられている。
物理学的な見地からは、地場の歪みが原因で引き起こされるとされる『フォース説』や、目に見えない細菌が土の中に潜んでいて、その最近によって運ばれるという『細菌説』。
現実離れしたものになると、エイリアンの仕業とされる『宇宙人説』まで唱えられてきた。
多くの物理学者をはじめとする科学者がこの謎に挑んできたにも関わらず、解明できなかったのにはその動く速度の遅さに原因があった。
一定期間観測をしてみると、数年に一度の間隔で動くものもあれば数か月に一度動くものもあり、観測自体が難しかったようだ。
また、同じほどの大きさの石であっても動くものと動かないものが存在するなど、その規則性も曖昧で、こういったところも解明を難しくした要因の一つだった。
70年以上未解決だったこの問題に終止符が打たれた…?
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1940年代から世界中の科学者たちを悩ませてきたこの何とも不思議なデスバレーの動く石だが、ついにこの謎が解明されたと言うニュースが報じられた。
この謎を解明したのはアメリカの研究チーム『Scripps Institution of Oceanography』で、石の中にGPSを駆使した追跡装置を組み込み、長期間に渡って観測を続けたのだそうだ。
この研究機関の『Richard Norris』率いるチームは、2011年の冬にこのデスバレーの動く石の謎を解明すべく調査を開始。
その結果、導き出された答えは『石は氷に押されて動いている』というものであった。
冬に降った雨によって石の周りに池が出来る。
この池が夜の冷え込みと共に凍り、日が昇ると氷が融けて割れる。
割れた氷が風に吹かれて池の上を移動し、その時、同時に石を押して移動させる。
という原理のようだ。
実際にこの研究結果を聞いて、ちょっと無理があるのでは?と思ってしまうのも無理はない。
しかし、およそ2年間に渡る観測の結果、この原理で徐々に大きな石が移動していることが確かめられている。
ちなみに、この観測に参加したチームのメンバーはこの実験に対して、『今まで最も退屈な実験』とコメントしたという。
仮説の段階ですでに唱えられていた説なだけに、なんかあまり感動がありませんが、この『2年間観測し続ける』という根気のいる実験を見事に成し遂げたアメリカの研究機関に賛辞ですね。
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