千里眼事件　御船千鶴子

御船千鶴子とは明治生まれの女性で、数々の予言を的中させたとされる人物である。

超能力と聞くとインチキくさいが、御船千鶴子に関する逸話はどれも公式記録として残るものばかりであり、その信憑性は極めて高い。

また、彼女は映画リングの貞子の母親役として登場する『山村志津子』のモデルになったと言われている。

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超能力者・御船千鶴子

現代でも存在が疑われ、議論の的となる透視能力や千里眼だが、明治時代のには既にこうした能力の存在を科学的に実証しようとする試みがなされていた。

本物の超能力を持っていた可能性の極めて高い人物として長南年恵を紹介したが、御船千鶴子もまた千里眼を自称し日本中に議論を巻き起こした内の一人である。

御船千鶴子は1886年（明治19年）に熊本県宇土郡松合村に生まれる。

幼いころから進行性の難聴があり、豊かな感受性を持っていたとされる。

九州最大の炭鉱である万田炭鉱を透視によって発見したことでも知られ、この炭鉱発見の依頼をした三井財閥から現在の価格で約2000万円の謝礼金を受け取った。

また、若いころには結婚した夫の財布から亡くなった50円を姑の使用していた仏壇の引き出しにあることを透視で言い当てたことで、疑いを掛けられ自殺未遂をしたというエピソードもある。

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千里眼事件

御船千鶴子の名を世に知らしめることになる千里眼事件は東京帝国大学教授であった福来博士の下行われた大規模な透視能力の存在を検証するための実験であった。

現代のマジックのようなトリックが使えない様に専門家立ち合いの下、慎重に透視に使う道具や条件を決定し実行された。

その結果、御船千鶴子の透視成功率は実に80％以上にも及んだ。

しかし元東京帝国大学総長の山川健次郎が鉛管の中の文字を透視するといった実験に立ち会った際、その鉛管が山川の用意した鉛管ではなく、福来が用意したものだということが後に発覚。

この不審な経緯が報道されると、御船千鶴子とその周辺の関係者に対する世論からのバッシングは一気に高まった。

結局、千里眼や透視能力の存在はあやふやなまま検証は打ち切られることになってしまった。

この実験結果で千里眼能力を否定された御船千鶴子は24歳の若さで服毒自殺を図り死んでしまう。（一般的に世論からの厳しいバッシングに耐え切れず自殺したとされるが、その動機については諸説あり）

この事件により御船千鶴子の千里眼の存在は否定されてしまうものの新聞社や世論からの攻撃的なバッシング等により半ば強制的に打ち切られてしまったこの検証結果は十分納得のいくものではないだろう。

それは検証に携わっていた大学教授などの研究者にも世論からの攻撃の目が向けられたことからもそう言える。

詐欺師やペテン師と呼ばれる結果となってしまった御船千鶴子だが彼女は、その千里眼という自らに備わった特殊能力を活かし、地元の人々の病気を言い当てるなど地元では愛され、感謝されていたこともまた事実なのである。

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