航海史史上最大の謎とされるメアリーセレスト号事件
2016/09/24
メアリーセレスト号はスペンサー島のノバスコシアで建造された二本マストの帆船である。
1872年12月4日、メアリーセレスト号はポルトガル沖のの海上で近くを通りかかったデイ・グラチア号により大西洋を無人のまま彷徨っているところを発見された。
不審に思ったデイ・グラチア号の乗組員がメアリーセレスト号の船内へと入ってみると人は誰一人としていなかった。
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無人で漂流していたメアリーセレスト号の謎
出港時、メアリーセレスト号には船長ベンジャミン・ブリッグズとその妻、娘の他船員7名の計10名の乗組員がいたことが分かっているが、誰一人として船内に残っている者はいなかった。
船内の調査を初めにしたデイ・グラチア号の一等航海士デボーは『船全体がびしょ濡れ』であることをまず報告したという。
デッキの浸水状態もひどく船内までびしょ濡れだったことからも当初、高波に襲われ海に投げ出されたという推論もされたがそう考えるには不自然な状況が船内には残されていた。
羅針盤は壊され、水平方向の角度を測定するために用いられる六分儀と航海に用いられる高精度な時計であるクロノメーターが失われていたことから故意的に船を遺棄したということがうかがえた。
さらに船内の手すりには意味深な3つの血痕が発見され、壁にはこれまた理解に苦しむ謎の引っ掻き傷が残されていた。
他にもデイ・グラチア号の乗組員らによる報告によると、船内に残されていた船長の航海日誌はデイ・グラチア号に発見される10日前から書かれていなかったということが明らかになっている。
現場に残された数々の不思議な物証から世間の注目を集め、大々的に報道がなされたが、この事件の本当に不可思議な点はメアリーセレスト号の乗組員たちの消息が現在に至るまで1人として不明なところである。
事件の真相はいかに
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『船内の手すりから謎の血痕』や『壁に残された謎の引っ掻き傷』、さらには『乗組員全員の消息が不明なこと』など不可思議な点が多く残されていたメアリーセレスト号事件は当時から様々な推論を呼び、日本でも数年前のオカルトブーム時には意図的に現場に残された状況を誇大に書き換えいかにもオカルト的な表現がなされた。
当時のオカルトブームの中で一部のオカルトファンの間では、『まだ温かいままの朝食が残されていた』などいかにも乗組員たちの消息が不明なことを、タイムスリップや未確認生物による誘拐説などと結びつけるような表現がなされたが、メアリーセレスト号の船内調査を行ったデイ・グラチア号の乗組員たちの報告書にはこのような記述は一切見られない。
このため、現在一般的に知られるメアリーセレスト号事件にかかわる謎とされている物には事実とは違った、オカルトファンを煽り立てるためだけに脚色された作り話であるものが大変多いようだ。
しかし、『乗組員全員の消息が今なお不明』というのは事実であり、当局の懸命な捜査にもかかわらず100年以上経った現在でもその消息は誰一人としてわかっていないのだ。
そして科学的、論理的な側面からの調査が本格的に行われると、謎の血痕や引っ掻き傷などから海賊襲撃説などが挙げられたが、それにしては船内の状況が荒らされておらず、綺麗すぎること等からこの説は否定された。
この他にも竜巻説や地震説を始め、さまざま検証がなされたがいずれの説も有力な物とは言えなかった。
そして一部の研究者の間では、バミューダトライアングルなどによる魔の海域説や大ダコのような巨大生物による襲撃など科学的・生物学的には何の根拠もない憶測まで飛び出す結果となり、この事件の真相は現在も闇に包まれている。
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