現代にのこる物理的謎ー鎌鼬(かまいたち)とは
2016/09/24
日本には古くから言い伝えられる伝承などのようなものに妖怪がある。
この鎌鼬(かまいたち)という怪異もまた古くは妖怪の仕業と信じられてきた。
鎌鼬とは何にもない場所で突如、体の一部に切り傷が付くことで、その科学的根拠、原因は現代でも様々な憶測を生んでいる。
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謎多き鎌鼬とは

鎌鼬を辞書で引いてみると、『体を物にぶつけても触れてもいないのに,鎌で切ったような切り傷ができる現象』のような記述がされている。
妖怪という概念は日本独自のものであって、古くは科学的に理解の及ばないものに関しては全て妖怪の仕業だと考えてきた。
ただ、世界各地にみられるようなオカルト的な物ではなく、この妖怪というものは民間伝承と言った方が良いかもしれない。
鎌鼬だと思われる症状は日本各地に言い伝えられており、そのどれをとっても不思議なものばかりで、医学的な根拠も見つからない。
例えば、奈良県の吉野に伝わる言い伝えによれば、ある日道を歩いていて何もない場所で転んだ時ふと足を見てみると数センチにも及ぶ深い切り傷がついていたという。
何もない所で転び、そしてここまで深い切り傷が足に出来ることも不思議ではあるが、もっとも奇妙なのはその数センチにも及ぶ深い切り傷から血が一切出ていない事だった。
近代に入ってからも数多くの報告例があるこの鎌鼬と思われる現象だが、そのどれもに血が出ない事。何もない所での深い切り傷。何もない所での転倒。など、不可解な点が多い。
科学的解釈
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鎌鼬の科学的側面からの解釈は近代では『気圧の急激な変化によるもの』と考えられてきた。
急激な気圧の変化によって物体に何かしらのダメージを与えることは物理学的にも十分考えられることなのだが、実際問題、人間の皮膚ほどの強度を持った組織を破壊するほどの気圧の変化は自然界では起こりえないとされている。
それに加え、本当に気圧の変化がもたらす現象だとするならば、その物理的なダメージは皮膚以外の部分(例えば洋服やズボンといったもの)にも現われなければおかしい。
しかし、実際の体験談からは服やその他、身に着けていた物が引き裂かれたという話はひとつもないのだ。
これを意味するところはどういうことなのだろう?
最近の研究では、気圧差ではなく『気温差』がこの鎌鼬を引き起こす原因だという見方が有力のようだ。
ガラスなどを例にとると分かりやすいが、暖かくしたガラスのコップなどを急激に冷やしたり凍らしたりすると、ガラス表面の収縮などの関係から割れてしまい、この逆もまた成り立つ。
この現象が人間の皮膚で起きたとき、鎌鼬という現象が発生するとされている。
この気温差説は有力というだけで確証がある説ではないか、鎌鼬の体験談は古くから雪国に多い。
雪国と鎌鼬を結びつける点はここにあるのだろうか?
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